日本在宅透析支援会議
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在宅血液透析に関するFAQ(Frequently Asked Questions)

皆様から寄せられたご質問に対して、全国の顧問や幹事の先生方が回答致します。

ご質問は、こちらから受け付けております。
    
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質問 質問者:男性 51歳 透析歴18年
今、在宅血液透析を考えていますが、現病院の院長から、
在宅の場合、エンドトキシンなどの不純物の除去など透析液の清潔性にまだ疑問があり、
在宅用の液フィルターなどでは信頼性が薄く、将来的に不安ということも考えられるので慎重に、と言われています。
いかがでしょうか。
回答 回答者:近畿大学堺病院 今田聰雄先生
在宅で使用する「透析液供給装置」は透析施設で使っているいわゆる「個人用の透析液供給装置」です。
日本中の施設の大半は水道水から透析液を作っています。
通常は逆浸透装置(Reverse Osmosis:RO装置)を通過した水を透析用の希釈水として使用しています。
細かく云えば水道水の水質はそれぞれ異なり問題がないとはいえませんが、一定の基準を満たしたものです。
その施設が特別な透析液希釈水を作って使用しているのであれば、水道水からRO装置を使って作る透析液希釈水の清潔性に疑問ありと云われるのも理解できますが、
この件に関する限り、在宅で使用している「個人用の透析液供給装置」をご存知ではないためではないかと思われます。
すなわち現在、在宅で血液透析を行っている方は、RO装置から(中には硬水軟水化装置:軟水装置を前処理に使っている慎重派の方もいらっしゃいます)希釈水を採って、 エンドトキシンカットフィルタ−を通過させた透析液を使用しています。
つまり日本中の透析施設のほとんどが使っている透析液と同じものです。
そしてその費用の全ては健保(在宅透析指導管理料:透析液供給装置は患者1人に対して1台を貸与し、透析液供給装置加算には逆浸透を用いた水処理装置・前処理のためのフィルタ−の費用を含む)で認められています。
在宅透析が普及しない最大の理由は、「安全である」と言うことも含めて透析は家庭でも出来ると言うことの宣伝不足であり、
当「日本在宅透析支援会議」の力不足を痛感しております。
是非、在宅血液透析の普及のためにも頑張って頂きたいと思います。

質問 質問者:男性 51歳 透析歴18年
Q&Aの中で、在宅を行っている場合、(介護者が病気など)臨時的にお願いする元病院での透析には保険がきかない、
というようなところがあったようですが、いかがでしょうか。
回答 回答者:近畿大学堺病院 今田聰雄先生
「保険がきかない」の解釈ですが、これも在宅血液透析指導管理料を請求した場合のことです。
つまり、現在の健保では、「在宅血液透析指導管理料を算定している患者が、当該施設に赴いて人工腎臓を実施した場合には、人工腎臓の処置料は別に算定できない。
ただし、薬剤料又は特定保険医療材料費は別に算定できる。」と規定しています。
「在宅」を「施設」に持ち込んだと解釈するので、簡単に言えば、医師、看護師、臨床工学技士の費用は払えませんが、
透析液やダイアライザ−、抗凝固薬の代金は払いますよ、と言うことです。
「保険の二重取りはいけません」という解釈ですがご理解頂けましたでしょうか。

質問 質問者:男性 53歳 透析歴2年
在宅透析の場合、介護者と患者の教育が必要との事ですが、具体的にはどういう場所(機関)でどのような日程でおこなわれるのでしょうか。
その場合何処に申し込めば良いのでしょうか。
また介護者が妻で看護士の場合も教育は必要なのでしょうか。
ご回答のほど、よろしくお願いいたします。

回答 回答者:近畿大学堺病院 今田聰雄先生
健康保険上の規則では、「在宅血液透析指導管理を実施する保険医療機関は、病床と専用透析室及び人工腎臓装置を備えていなければならない」となっています。
したがって、1床以上の入院ベットのある、(無床診療所ではない)有床診療所(診療所は19床まで、病院は20床以上です)として届け出ている透析施設(クリニック)が場所(機関)です。
介助者と患者の教育とは、「現在受けておられる血液透析がそのまま家庭で出来ればよい」わけですから、最も簡単な教育は、院長先生と看護師(臨床工学技士)さんに頼んで、
始めから終わりまで、ご自分お一人でやってみられることです。 出来たら、「教育」は終了です。
実際「お一人で在宅血液透析」をおやりになっていらっしゃる透析者がおられます。そのビデオもありますから、一度見て頂くと納得出来ると思います。
通常は、透析装置の回路の組み立て、洗浄(臨床工学技士さんが中心)から、ブラッドアクセス(シャント)の穿刺、透析開始、透析中の処置(血圧測定、その他)、回収(看護師さんが中心)、回路の取り外し、透析機の消毒(臨床工学技士・看護助手さんが中心)などが、
施設の「透析スタッフ」によって行われていますが、それらをご自分で介助者と共に行うことになります。
さらに緊急時の対応(透析を中止すればよいのですが)などを知ってもらうのが教育です。
期間は2〜3週間(理解力によるので)です。
関東では東海大学、慶應大学、貴友会王子病院などが在宅血液透析の管理の出来る施設です。
介助者が看護師(あるいは医療関係者)であることの方が条件としては有利ですが、「透析」を理解出来る方であることです。
要はどうすれば「安全に透析が行える」かということです。


質問 質問者:男性 41歳 透析歴4年
最近、在宅透析のことを知ったのですが、
1.在宅透析を始める場合に必要な機材
また一月にかかる自己負担額はいくらぐらいですか?
2.後、針を刺すのは誰でも良いのですか?

回答 回答者:近畿大学堺病院 今田聰雄先生
在宅透析には「在宅血液透析」と「腹膜透析:CAPD」があります。
前者は透析をしている間、何方か介助をしてくれる方が必要ですが、
後者は一人でも出来ます。
両方のよいところを合わせて、週に5日はCAPDを行い、週に1回「血液透析」をする「補完療法」もあります。
ご質問は、「在宅血液透析」の範囲であると思います。

1.個人がそろえなければならない、あるいは買い求めなければならない、機材と費用。
 (1) 滅菌庫:これは血液透析を行う時に必要な止血鉗子などの医療器具を殺菌するための小型の箱です。
    散髪屋さんにある物と同じものですが、お値段は20,000円程度です。
    リ−スやレンタルも可能だと思います。
  (2) 機械の下に敷く防水シーツ(ビニ−ル製のものなど)
  (3) 「在宅血液透析」には、専用の電気と給水・排水が必要です。
    その工事代金が内容にもよります約5〜10万円かかると思います。
    保健で支払ってもらえるとよいのですが現在は自己負担です。
  (4) 聴診器、血圧計、体温計。聴診器以外は家庭にもあるものです。
  (5) ブラッドアクセス(シャント)を穿刺する時の穿刺用の台(オーバーテーブル、ワゴン等)
  (6) 光熱費代としては、日頃の支払いに加えて1.3〜1.5万円程度増えることになります(季節により変動あり)。
    これも保健で支払ってもらえるとよいのですが現在は自己負担です。
  (7) その他
      a.透析の機械と水処理の機械でタタミ1畳、透析のためのベッドを入れて最低3畳ですが、4.5畳のの部屋があるとよいですね。
      b.1ヶ月分の透析材料(透析液、回路その他)を収納しておくために押入れの襖半分の上下があるとよいのですが。

  本来は在宅血液透析指導管理を実施する保険医療機関が用意をすることが望ましいのですが、費用その他の保険請求が限られているため個人負担になる部分があるのが現状です。

2.針を刺す(穿刺をする)のは、透析者本人の「自己穿刺」が原則です。
 御本人以外では、医療行為と考えられて、資格がないと問題になる場合があります。
 「穿刺」ではなく、「針の挿入(ボタンホ−ルなどの)」と考えると介助者でもよいのでしょうが、
 法律的に問題を提起して、解決するには時間が必要です。
 在宅医療の普及のためには早期解決が必要なのですが。


質問 質問者:男性 51歳 透析歴19年
在宅血液透析希望)3ヶ月前、心胸比が56%で延期。
今52%程度。
今度は(1)リン値が普段は5点台、今月6.6 (2)胸部エコーで僧房弁などにカルシウムの沈着(実施したドクター:年数にしては少ない方)・・
これらの状況の変化を見極めてからでないと許可できない。
1,2ヶ月の問題ではない、といわれました。
質問)リン値はともかくも、弁のカルシウムの問題は次の撮影を待つようですが、
弁などのカルシウム沈着は短期(1年、2年程度?)で大きな変化が見られるのでしょうか。

回答 回答者:近畿大学堺病院 今田聰雄先生
ご質問の内容を、
少なくとも3カ月前から在宅血液透析を希望されているが、
@ 3カ月前は心胸比が大きいので許可がでなかった。
A 現在はリン値が少し高いことと、心臓エコ−で僧帽弁に石灰沈着が認められたので、やはり許可が出ない。
その状況で B 心臓弁の石灰化(カルシウム沈着)の予後はどうなるのか。
ということと解釈します。
話の前後がわかりませんので間違っていたら訂正します。

心胸比もリン値も、心臓弁の石灰化も「在宅血液透析」を行う、行わないとは全く関係のない話です。
「在宅血液透析」は今施設でやられている血液透析を「家庭で行う」だけのことですから、
検査値や検査内容で許可出来るとか出来ないを云々することことはおかしいと思います。
「在宅血液透析」は自己管理を主体とした治療です。
透析時間や透析回数も自分で決めることになります。
それゆえ心胸比もリン値もそれに関連すると思われる異所性石灰化も、
よくなる可能性の方が大きいと思います。
問題は在宅血液透析の管理施設が近くにあるか否かになるのではないでしょうか。
心臓弁の石灰化については、年数も含めて、そう簡単には除去することは出来ないと思います。
われわれもHDF(on-line HDH)やPush/Pull HDF法などを試みていますが、この異所性石灰化の治療は思うようにはいきません。
大切なことは、弁の石灰化(カルシウム沈着)が心臓機能に与える影響(弁の開閉)です。

弁置換術なども含めて治療法の検討がいるので、弁の動きや閉鎖不全の存在を定期的に心エコ−で調べます。


質問 質問者:男性 38歳 透析歴13年
九州の熊本県で家庭透析は可能でしょうか。

回答 回答者:近畿大学堺病院 今田聰雄先生
誠に残念ですが、熊本県には在宅血液透析の支援施設はありません。
九州全域にもないので、当支援会議や、在宅血液透析研究会からも支援施設を作ってくれるように、
九州の透析施設の代表者や、九州透析研究会などを通して依頼をしているところです。

長崎大学附属病院 腎臓疾患治療部の管理下で、
離島の診療所の先生がご自分で(在宅で)なさっていることは聞いていますが、
在宅血液透析の支援を打ち出している施設はまだありません。


質問 質問者:男性 38歳 透析歴(CAPDも含め)20年
透析者本人です。
在宅透析を検討したいと思っています。
腎不全の他に脳出血による左片麻痺も併せ持っておりますが、腎不全の現疾患は低形成腎です。
脳出血を5年前におこしそれ以来左片麻痺で車椅子での生活になっています。
在宅透析を考えるときに特に自分で穿刺が困難ではないか?などと不安な要素が様々あります。
左片麻痺を併せ持つ者でも在宅透析を導入することは可能でしょうか。

回答 回答者:近畿大学堺病院 今田聰雄先生
支援施設が納得するか否かですが、基本的に在宅血液透析は可能です。
穿刺についても右利きであれば有利かも知れませんが、左利きであっても訓練で十分対応できると思います。
在宅透析を希望されるのであれば、以下の方法をご検討下さい。
すなわち、CAPDを中止された理由と時期がわからないので、再開について云々できませんが、
現状から、CAPDを再開され、週に5日間を夜間のみの自動化腹膜透析をやり、
1日だけ通院をして血液透析を施設でおやりになってみては如何でしょうか。
管理する施設も、病状の把握ができて良いように思います。
お考え下さい。


質問 質問者:女性 45歳 透析歴20年
私は在宅血液透析に興味がたいへんありますが、
「在宅血液透析ならでは」という良い点が患者に打ち出せないと
なかなか浸透していくのが難しいとも感じています。
といいますのは、フルに仕事をしているとどうしても透析時間に制約が出ます。
アメリカではすでに臨床で使われているそうですが、
連日短時間血液透析、連日短時間血液濾過などの病院透析にはない利点、
時間の制約も軽減され、治療効果も高いと言われている
このような方法が在宅血液透析にこそ求められるのではないかと思っています。
日本での認可を切望します。

回答 回答者:近畿大学堺病院 今田聰雄先生
質問というよりも、内容から「在宅血液透析の普及に対する方策」、ご示唆に感謝致します。
仰る通りなのですが、いくつかの問題があります。
1.いわゆる「連日短時間透析」は、「在宅血液透析」で行うのであれば現行の健康保険の範囲内で、
「透析時間の制限」と共に既に「認可」済みです。
   ご指摘のように、透析者はもとより、透析に携わる医療者もそのことを「知らない」、
やってみようという透析者、医療者がほとんど皆無であることが問題だと思います。
2.現行の「健康保険」上問題はないとしても、ちょっと考えてみても、
(1)連日短時間透析を行う利点、と(2)バスキュラアクセス(シャント)を連日穿刺すること、
(3)ダイアライザを連日使い捨てにすること、のどちらに利があるかなどを解決しないといけないのではないでしょうか。
さらに、介助者の問題(介助者なしで、お一人で在宅血液透析を続けていらっしゃる透析者もおられますが)もあります。
ご指摘の内容は、現在、可能なのですが、全国一斉に、何処ででもという希望であれば、その前に解決すべき問題があるのが現状だと思います。


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